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恐らく、腰掛けている人物もヤイパであろう
自分で自分の首を持っているのだ
(殺すつもりの人物が先に殺されているとは…一体誰が…)
フリークはようやく落ち着きを取り戻しつつある
(いや、今はそれよりも…)
今はこの戦車をサイロに踏み入れさせない事が重要である
動力部を叩こうとフリークが一歩踏み出した時である
突如背後から声がした
「芸術やと思わん?」
フリークはとっさに飛び退く
しかし声の主はフリークに攻撃するわけでもなく、優雅に歩き出した
(なんだコイツは!?)
フリークは自分の心拍数が異様に早い事を感じていた
(俺が背中を取られて全く気付かないとは…)
暗殺のスペシャリストであった彼は、それだけに動揺を隠せない
その間にも声の主は歩を進め、窓の外を眺めていた
「オモロない?自分で自分の首を抱えとんの」
そう言って笑うと、栗色の髪が揺れた
中肉中背の、いかにも普通の男性である
マッシュルームカットと特有の訛りが特徴的だが、どうも騎士や術者には見えない
「あなたが、ヤイパを?」
筋肉を緊張させながら、フリークが尋ねる
その問いに、青年は満足げに笑った
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