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「私は異存無いよ」
メノウが手を挙げる
「でもハヤノカさん、この国を左右する事だと思うからこれだけは教えてほしい
ソルトバさんは不在なんですか?それとも…」
黒い瞳をサリの手中のオペレッタへと向ける
暗に、彼も命を落としたのかを尋ねているのだ
ハヤノカは床に瞳を落としたが、すぐにその赤い瞳をメノウへと向ける
「隠すつもりはない
ソルトバは負傷した…恐らくあの怪我では指揮を執ることはできないだろう」
フッと空気が止まった
皆、一様に息をのむ
ソルトバに痛手を負わせる程の敵が居るということなのだ
重く、空気が停滞する
その中ゾヌイは辺りを見渡した
(アキレスがいない…)
王座の間にいるワイトは
ハヤノカ、メノウ、ベアトリクス、そしてゾヌイの4人
ワイト・スペアはミヤ、イハ=イラーの2人である
国王、ソルトバ、オペレッタが不在としても
スース、アキレス、クロードはどうしたものか
(奴らも命を落としたか、負傷したか…いずれにしてもワイトが4人とは心細い)
「皆も気付いているだろうが、このメンバーではとても太刀打ちできん」
ハヤノカが皆の顔を見て話す
「そこでだ、ベアトリクスには直ちにアイゼン・タワー氏の下へ飛んでもらいたい」
突然の指名にも動じず、ベアトリクスは青い瞳を真っ直ぐハヤノカへと向けた
「A.I.Kですね?」
あの惨状を目の当たりにした彼は、既に落ち着きを取り戻しており、国を救う手だてを考えていたのであった
「そうだ
詳しくは無線で指示する…移動しながら聞いてくれ」
ハヤノカは黒い無線機をベアトリクスへ手渡す
ベアトリクスは右手に無線機を握り締めるとサリに向かい、最敬礼をした
「サイロに栄光を」
しかし、サリは見向きもしない
彼は相変わらず笑顔でオペレッタの生首を抱いていた
その様子をイハ=イラーは複雑な眼差しで見ていたが
ベアトリクスは眉一つ動かさず、颯爽ときびすを返した
今は哀しんでいる間は無いのである
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