サイロ王宮1 [ハヤノカ]

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「私は異存無いよ」 メノウが手を挙げる 「でもハヤノカさん、この国を左右する事だと思うからこれだけは教えてほしい ソルトバさんは不在なんですか?それとも…」 黒い瞳をサリの手中のオペレッタへと向ける 暗に、彼も命を落としたのかを尋ねているのだ ハヤノカは床に瞳を落としたが、すぐにその赤い瞳をメノウへと向ける 「隠すつもりはない ソルトバは負傷した…恐らくあの怪我では指揮を執ることはできないだろう」 フッと空気が止まった 皆、一様に息をのむ ソルトバに痛手を負わせる程の敵が居るということなのだ 重く、空気が停滞する その中ゾヌイは辺りを見渡した (アキレスがいない…) 王座の間にいるワイトは ハヤノカ、メノウ、ベアトリクス、そしてゾヌイの4人 ワイト・スペアはミヤ、イハ=イラーの2人である 国王、ソルトバ、オペレッタが不在としても スース、アキレス、クロードはどうしたものか (奴らも命を落としたか、負傷したか…いずれにしてもワイトが4人とは心細い) 「皆も気付いているだろうが、このメンバーではとても太刀打ちできん」 ハヤノカが皆の顔を見て話す 「そこでだ、ベアトリクスには直ちにアイゼン・タワー氏の下へ飛んでもらいたい」 突然の指名にも動じず、ベアトリクスは青い瞳を真っ直ぐハヤノカへと向けた 「A.I.Kですね?」 あの惨状を目の当たりにした彼は、既に落ち着きを取り戻しており、国を救う手だてを考えていたのであった 「そうだ 詳しくは無線で指示する…移動しながら聞いてくれ」 ハヤノカは黒い無線機をベアトリクスへ手渡す ベアトリクスは右手に無線機を握り締めるとサリに向かい、最敬礼をした 「サイロに栄光を」 しかし、サリは見向きもしない 彼は相変わらず笑顔でオペレッタの生首を抱いていた その様子をイハ=イラーは複雑な眼差しで見ていたが ベアトリクスは眉一つ動かさず、颯爽ときびすを返した 今は哀しんでいる間は無いのである
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