3人が本棚に入れています
本棚に追加
ゾヌイ達が退室するのと同時に、メノウも王座の間を出た
まだ中ではハヤノカが司令部に必要な機材の設置をしているが、彼女は気になっていたことがあったのだ
彼女は短いワンピースのポケットから黒い携帯を取り出すと、履歴から電話をかける
コール音が鳴る間に壁にもたれかかり、腕を組んだ
無意識にコール数を数えている自分に気付く
電話は9コール目で繋がった
「もしもし…?」
受話器から聞こえてくる普段と変わらぬ声に、メノウは胸を撫で下ろす
「もしもし?ちょっとアンタどこにいるの!?大丈夫なの?」
一気にまくしたてる
「メノウ…私は大丈夫
今は別件で動いているわ」
電話の主は、アキスであった
「別件って…今王宮が大変なことになっているのを知ってるの?」
メノウは腕を広げ、何故?というジェスチャをとったが、勿論アキスに見えるはずはなかった
「えぇ…分かってる…私だってできれば今は王宮に居たいわ
でも、ソルトバ様の指示なのよ」
ゴージャワイト内でソルトバに様をつけて呼ぶのはアキスぐらいである
彼はソルトバの事を崇拝しているのだ
腕も立つし、かなりの知略家なのにストイックな所も尊敬する点の一つである
一連がサイロにとって損失がでかいのでは、とアキスは考えていた
そしてそのソルトバの命は、何よりも重かった
「分かった分かった
とにかく、私はハヤノカさんと王宮にいるから、アンタも気をつけなさいよ?」
「えぇ、メノウも」
それだけ言うと、どちらからともなく電話は切れた
最初のコメントを投稿しよう!