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ハウス最南端
岩肌が剥き出しの荒野を、時速300キロで進むバイクがあった
ゴツゴツとした大地をグレイの単車は難なく走り、小高い丘の上で急停車をする
土煙が上がるのもお構いなしで、バイクに跨る人物は取り出した双眼鏡で丘の400メートル下を走るタンクを眺めた
「…あれか」
ゴーグルを額へずらし、呟く
長い黄色の髪が風に流れた
バイクの人物は、ラスプンシャス国騎士、フリークであった
フリークは高速タンクが丘の真下を通るのを確認すると、フルスロットルでグレイの単車を急発進させた
当然、いきなり吹かしたため、ウィリーになるが、彼はそのまま崖を駆け下りる
というより駆け落ちる、と言った方が描写的に正しいかもしれない
ものの数秒でバイクはタンクの死角に滑り込んだ
高速タンクの後方は風の抵抗が少なく、すぐさまフリークはバイクの上に立つと、ひょいと身軽にタンクへ飛び移る
何事も潜入は短時間で行う程、成功率は上がる、と彼は信じており、彼の相棒のシャン=スイには劣るものの、フリークは迅速にタンク内へと侵入することに成功した
彼は静かにハッチを閉めたが、なんせ砂利道を高速で走っているものだから、タンク内も騒音が響いており、あまり意味はない
(…それにしても静か過ぎないか?)
騒音はするが、人気がない事にフリークは気付いた
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