broken heart

13/23
前へ
/100ページ
次へ
   モノトーンの上下に同系のアーガイルニット。シャツの襟の一筋の柳色が、僅かに色を見せ。  物静かな、だけど、黒セルフレームの奥から覗く意思のはっきりした強い眼。  穏やかな物腰ながら、無言のうちに人も物も選別されている。  そんな鋭さが見え隠れする人に思われ。  元からそうなのかは分からないけれど、親戚中でも彼ほど大柄な人はいないと思う。  リビングで対峙している父親も、がっちりしているほうだけれど……  ティーカップがディミタスカップみたく映る大きな手。脚なんかも、関節ひとつ余分にありそうなくらい長くて。  多分……屈まなきゃ確実に鴨居で額を打ってるんじゃないだろうか。  だのに、匡一郎さんには、大柄な人にありがちな重さというか鈍さが感じられなくて。    
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加