悪魔の囁き、天使の笑顔

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麻生智は子供の頃から可愛い子で周りから天使の様だと言われてた。 「流兄ちゃん会いたかった!」 数年ぶりに再会した智は子供の頃と変わらない笑顔だった。 「流兄ちゃん、おはよう!」 最近の俺の朝は騒がしく始まる。 「うっ!!智?!重い!」 俺の上に智が笑顔で乗ってる。 「起きた?」 にっこりと笑って智は俺を見た。 「起きた、起きました、だから早く退け」 俺は溜め息を吐いて言うと智は笑顔のまま降りた。 「毎朝、もう少し優しく起こせないのか?」 俺は呆れて智を見ると、智は頬を膨らませて拗ねた様な表情で俺を見てる。 (あ、可愛い) 智の表情を見て俺は可愛いと思う、しかし、それはどんなに可愛くても見入ってしまうのは間違ってるだろう。 「だって、流兄ちゃん一回で起きてくれないんだもん」 寂しそうな表情、もしもとか想像してしまう俺は少し壊れかけてるのだろう。 (本当、男って言うのが間違いだよな) そう、智はどんなに可愛くても、立派な男なんだ。 「どうかしたの?」 何も言わないで智を見て居た俺に智は不思議そうに俺を見た。 「何でも無い、ほら飯だろ?」 俺は少し恥ずかしくなって話題を変える様に智に手を差し出した。 智は俺の腕に掴まり嬉しそうに笑った。 (ヤバイなぁ、マジで可愛いし) 智の両親は今アメリカに居る、転校を嫌がった智を俺の両親が預かる事にした。 「おはよう」 「智くん、毎朝ごめんね」 キッチンに入ると母さんが俺を見て智に申し訳無さそうに言った。 「ううん、大丈夫」 智は素直で可愛い、母さんも父さんもそんな智を気に入ってる。 「流、あなたもう社会人なんだからもう少ししっかりしなさいよ」 母さんは呆れた様に俺に言うと俺は溜め息を吐いて智を見た。 「はい、はい」 智は俺から離れて母さんの横に行った。 「理恵さん、僕手伝う」 「本当?助かるわ」 母さんと智が並ぶとまるで母と娘の様に見える。 (綾子からメール) 俺は二人を見ながら携帯電話のメールをチェックする。 [今夜の食事楽しみにしてるね] 大橋綾子とは付き合って1ヶ月になる、社内でも有名な美人で入社して数ヵ月の俺が付き合える何て思わなかった。 (食事か、前から行きたいって言って場所予約間に合うかな) だから俺はダサい位に必死になって居た。 嫌われたく無いとかそんな事を思うからだ。 「流兄ちゃん、珈琲で良い?」 携帯電話を見つめる俺に智が見つめた。
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