悪魔の囁き、天使の笑顔

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(俺と綾子の関係は絶対噂にはならないよな) 俺と綾子は会社では同僚、恋人とは言わない。 それが綾子が望んで居る事だからだ。 「ただいまって!と、智?!」 玄関に入るなり智が抱きついて来た、俺はその勢いで座り込んでしまった。 「にゃはぁ、おかえりぃ流兄ちゃん」 智は明らかに酔って居る、酒の匂いがする。 「あら、あら、智くん」 母さんは楽しそうに笑って居た。 「母さん?智」 呆れた表情をしてる俺を見て母さんはやはり楽しそうに笑ってる。 「パパがね智くんにお酒飲ましちゃったのよ」 母さんの口調は困った様な口調だったが、顔は楽しそうだった。 (まったくこの夫婦は) 俺はやっと立ち上がりリビングに向かうと父さんはソファーの上で気持ち良さそうに眠って居た。 「ママ、パパを運ばないといけないから智くんの事お願いね」 にっこりと笑って俺に言う、俺は仕方なく溜め息を吐いて智を見た。 「ほら、智、水飲んで」 俺は水の入ったグラスを智に渡そうとすると智は頬を膨らませて俺を見た。 「いや」 酔っぱらうと誰もが面倒になる、俺は智をソファーに座らせて水を飲ませた。 「ほら、しっかり」 「流兄ちゃん、好きちゅーして」 俺はドキッとしてしまった潤んだ瞳、ほんのりと赤みを帯びた頬、今まで付き合った女の子たちにくらべて明らかに綺麗だと感じた。 (ダメ、しっかりしろ俺) 俺は何度も何度も頭の中で言い聞かせた。 「流兄ちゃんちゅー」 そればかり繰り返す。 「ほ、ら智部屋に行こう」 俺は智を抱き抱えて智の部屋に向かう。 同じ男にしては軽い体、でも、智はまだ繰り返して同じ言葉を口にした。 「ゆっくり寝ろよ」 俺は智をベットに寝かして頭を撫でた。 「嫌っ!ちゅーして」 何度も繰り返す智に俺はゆっくりと額にキスをした。 「大好き」 智は満足そうに嬉しそうに微笑んで眠った。 (本当にヤバイかも) 無邪気な智の態度に俺はあり得ない感情を抱いてしまいそうになる。 (欲求不満かも) その感情を否定するために俺は理由を付けた。 「おはようございます」 次の朝、二日酔いなのかダルそうに智は降りて来た。 「あらあら、智くん大丈夫?」 母さんはそんな智を心配したが俺は心配より恥ずかしさで智の顔がまともに見る事が出来なかった。 「気が付いたらベット寝てて・・・・記憶が無いんです」 智は考え込むように母さんから水と薬を受け取った。
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