悪魔の囁き、天使の笑顔

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俺は泣きながら写真を剥がす綾子を見て居られなくて手伝った。 「大丈夫か?」 俺が剥がした写真を綾子に渡そうとすると綾子は俺を睨んで、奪い取った。 「最低よ!あなたがあの子たちにさせたんでしょう?許さないから」 俺は唖然とした、綾子の言ってる意味が理解出来ないからだ。 「どう言う意味だ?」 俺が理由を聞こうとすると綾子は泣きながら去って行った。 (俺が、あの子たち、まさか) 俺は自分の考えの馬鹿さに呆れた、そんな事あり得ない。 しかし、俺の考えは消える事が無かった。 「ただいま」 「おかえり!流兄ちゃん」 家に帰ると智が迎えた。 「母さんたちは?」 静かな家を不思議に思って智を見た。 「うん!今日はデートだよ」 にっこり笑う笑顔を見て俺はやはり考えに恥ずかしくなった。 (智な訳無いよな) 無邪気で可愛い智、俺は少しでも疑った自分が恥ずかしくなった。 「部長、婚約破棄したんだって」 「そりゃするわよ」 綾子が退社した後も綾子の噂は流れた。 俺は嫌になって居た。 「許さない、あなただけは許さない!」 街灯の影に立つ綾子はやつれて、美人と呼ばれた姿が無かった。 「綾子?」 綾子の手にはナイフが握られて居た。 「あなたのせいよ、あなたが、私の人生を壊したのよ!」 綾子がゆっくりと俺に近付いて来た。 「どう言う、意味なんだ!俺は何も知らない」 綾子は涙を流してナイフを構えた。 「それ以上、流兄に近づいたら今度は容赦しないよ」 冷たい口調、そこには智が立って居た。 「智!」 「早く消えろ」 冷たい口調で智が言うと綾子は泣きながらその場を走り去った。 俺は何も言えず、立ち尽くした。 「流兄ちゃん大丈夫?」 いつもの智の口調、俺は少し怖くなって居た。 「・・・・智、どう言う意味なんだ?綾子に」 俺は怖くなってその後の言葉が出なくなった。 「流兄、俺、許せなかった、あの女を流兄が幸せなら諦めれた、なのにあの女、違う男と、だから少し痛い目に合わせたんだ」 智の目は冷たく、言葉はまるで違う言葉に聞こえた。 「な、んで」 俺は立って居られなくなり座り込んだ。 「あんな女よりずっと前から流兄が好きだったのに、大好きだったのに」 やっと言葉が聞こえた、必死で泣きそうな声。 俺は何も言えずに智を抱き締めた。 智は驚いて泣いた。 「ごめん」 智も、綾子も俺のせいで不幸にさせた。 「流兄?」 何をしても救えない。
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