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青い空、白い雲、俺の一番お気に入りの場所。
(天気良いな)
町外れの小さな丘の上、俺は一人になりたい時ここへ来る。
『拓也は私の事どう思ってるの?私たち付き合ってるんだよね?』
一ヶ月前に告白されて付き合い始めた彼女に俺は聞かれて上手く答える事が出来なかった。
(付き合うって何なんだろ、遊びに行ったり、一緒に帰ったりじゃダメなのかな)
毎回だ、付き合うと必ず1ヶ月続かない、必ずと言っても良いくらいだ。
「なぁ!ちょっと!」
俺はその声に驚いて寝転んで居たのに俺は起き上がった。
「はい!えっと」
俺は見馴れない男に見惚れて居た。
「あの、高木さんの家を探してるんだけど?」
男は頼り無さげに笑いながら聞いて来た。
「高木?俺も高木だけど?あんた誰?」
見馴れない男は少し安心した様に俺に今度は優しげな微笑みを見せた。
「あ、僕は朝比奈と言います、もしかして高木聖くん?」
朝比奈は俺の名前を聞いて来た。
「そうだけど」
見馴れない男朝比奈は嬉しそうに俺に近づいて来た。
「雪さんと同じ大学に通ってます」
雪は俺の姉貴で、今年から大学に通う女子大生だ。
「姉貴の彼氏?」
俺は呆れた様に朝比奈に聞くと朝比奈は少し困った様に微笑んでから頷いた。
(姉貴にしては珍しいタイプの男だな)
姉貴は一般的に言う美人だ、彼氏には不自由はした事が無いし今までも姉貴の彼氏を見たが朝比奈の様なタイプは珍しい。
「でも、家は反対方向だけど?」
俺がそう言うと朝比奈はため息を吐いて困った様な表情をした。
「またか、ごめん、僕方向音痴で直ぐに道に迷うんだ」
朝比奈は少し照れた様に笑うとまた溜め息を吐いて腕時計に目をやった。
「雪さんに怒られるな」
「案内するよ、俺も今から帰るしさ」
俺がそう言うと朝比奈は嬉しそうに笑った。
「ありがとう」
俺は立ち上がり朝比奈の前に立った。
フレームなしの眼鏡、整った顔、着てる服はブランドでは無いが時計は有名ブランドのモノだ。
(こいつ金持ちか、姉貴らしいな)
俺はあまり冴えない男朝比奈と姉貴が付き合う理由がわかって、溜め息を吐いた。
「ごめん、迷惑かけてしまって」
本当に申し訳なさそうに朝比奈が言う。
本当に今まで姉貴が付き合って来た男とはまったく違うタイプ。
「別に、それに俺もそろそろ帰らないと親に怒られるから」
家に帰るのは気が重たかった、今日から家庭教師が来るからだ。
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