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「すぅはぁ」
朝比奈は大きく深呼吸した後、弱々しく微笑んだ。
「本当にすまない、どうしても香水が苦手で」
少し顔色も良くなる。
「そんなんじゃ姉貴と付き合うの大変だろ?」
姉貴は香水コレクターで毎日香水を使う。
「外で会うから、キツくは無いんだが、室内はどうしても」
弱々しく微笑む、朝比奈に俺は少しムカついた。
「そこまでして何で姉貴と付き合ってるんだ?」
不思議だった、顔だって悪くない、家庭教師をするくらいだから頭も良いんだろう、金持ちでもあるなら女何てよりどりみどりに決まってるのに、何故顔だけしか自慢出来ない姉貴と付き合うのだろうか、俺は不思議で仕方なかった。
「僕は勉強しか取り柄が無いから、それに」
朝比奈は頬を紅くして下を向いた。
「それに?」
俺は恥ずかしそうにする朝比奈に尋ねた。
「・・・・初めてなんだ、女性に告白されたのも付き合うのも」
頬を紅くして小さな声で朝比奈は呟いた。
(純情、だから姉貴に騙されたんだ)
俺は溜め息を吐いた、金持ちで顔も悪くない騙されやすい純情青年、俺は同情した。
「さぁ!話しはここまで、勉強しようか」
話して居る間に朝比奈の顔色は良くなって居た。
「別に勉強なんて」俺は溜め息を吐きながら言うと朝比奈は少し呆れた様な表情をした。
「この前の中間テスト、成績が落ちたって聞いたよ?補習だってね」
反論出来なかった。
この前の中間テストの成績はボロボロ、赤点ばかりで補習を受けた。
「始めようか?」
優しくにっこりと微笑みながら朝比奈が言うと俺は何故か逆らえず素直に教科書を開いた。
「もうこの辺かな勉強してるのは?」
朝比奈は数学の教科書を見ながら呟いた。
「まさか!まだここ」
俺は驚いて直ぐに否定した。
「そうなの?もうこの辺かと思ってたよ」
朝比奈は俺が指したページを見て少し驚いた様な顔をした。
「朝比奈さん何処の高校?」
俺は少し驚いて居る朝比奈に尋ねた。
「王帝学園だけど?」
(金持ち学園)
王帝学園は有名な金持ち学校、施設も教育も一流だ。
「頭良い訳だ」
「そんな事無いよ、じゃあここの問題まず解いてみて」
朝比奈は学校の教師よりわかりやすく教えてくれた。
[朝比奈さん]
どれくらい勉強してただろうか、姉貴がノックして入って来た。
「どうかしましたか?」
姉貴はさっきと違う服に着替えてバッチリ化粧をして居た。
「今から出掛けないといけなくて」
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