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姉貴は申し訳なさそうに下を向く、女優の様な演技に俺は関心する。
「そうですか、仕方無いですね」
本当に姉貴を信じてるのか朝比奈は優しく姉貴に言う。
「本当にごめんなさい」
姉貴は二股をしてる、朝比奈以外と付き合ってる。
(最低女)
俺は姉貴が嫌いだ、女がみんな姉貴見たいだとは思わないが、少し距離を置く、だから俺は付き合っても続かないのかも知れない。
「休憩しようか?」
姉貴はいつの間にか居なくなって居た。
朝比奈はにっこりと笑って俺の顔を見て居た。
「お、お茶淹れて来る」
俺は何故か恥ずかしくなって立ち上がった。
「あ、食事にしないか?」
思い付いた様に朝比奈は言い出した。
「あ、そうだな」
俺は時計に目をやった、もう十八時になって居た。
「いつも食事はどうしてるの?」
俺の家は親が共働き、食事はいつも一人でピザとか寿司とか店屋物ばかりだ。
「一人で何か頼む」
自由と言えば自由なのかも知れないが俺は嫌いだった、だから面倒で片手で済ませる栄養ゼリーのドリンクばかりだったりする。
「じゃあ、僕で良かったら作るよ」
俺はその言葉に驚きと不安を感じた。
(金持ちのおぼっちゃんが作れるのか?)
俺は不安な気持ちで朝比奈を見た、朝比奈はそれに気付いたのか優しく微笑んだ。
「男でも料理は出来るよ、迷惑じゃ無ければ」
にっこりと笑い朝比奈が言う、俺は二三度頷いた。
「迷惑じゃない」
俺の言葉に朝比奈は安心した様に微笑んだ。
「じゃあ、下に行こうか」
朝比奈は下に降りるとキッチンに立つ、一応料理の材料は揃ってる。
「座ってて良いよ」
手慣れた様に材料を選び料理を始める。
俺はそんな朝比奈を椅子に座り見て居た。
(本当、こんな良い奴が姉貴と付き合ってるんだ)
今頃他の男と居る姉貴を考えるだけでイラつく。
「はい、パスタにしたけど」
手早く作ったパスタを朝比奈は俺の前に並べた。
パスタとサラダとスープ、俺は少し驚いた。
「凄い」
俺は並べられてじっと料理を見つめた。
「どうぞう」
にっこりと笑って朝比奈は俺の前に立った。
「いただきます」
俺は誰かと夕食を共にするのは何年ぶりだろう、俺はそれだけで嬉しくなった。
夕食を済ませて、片付けをして少しだけまた勉強をした。
完璧で優しい朝比奈に俺は好感が持てた。
「じゃあ、今日は帰るね、来週も同じ時間で良いかな?」
朝比奈は教科書を片付けながら尋ねて来た。
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