心地良い場所

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「別に良いけど」 俺はまた来てくれる事を知って少し嬉しくなった。 「じゃあ、また来週」 玄関まで降りてにっこりと朝比奈は微笑んだ。 「あ!送る、また道に迷うと大変だから」 俺は来た時の事を思い出すと朝比奈は少し照れた様に笑った。 「助かるよ、自信無くて」 (こいつ、何か可愛いかも) 少し照れた様な微笑みをする朝比奈に俺は少し可愛いとさえ感じた。 「朝比奈さん、来週も良かったら迎えに行くけど」 俺は興味を感じた、姉貴に騙されてる良い人の朝比奈に俺は興味を感じて居た。 「本当に!助かるよ」 嬉しそうに言う朝比奈はまるで俺と同い年か年下に見えた。 「それじゃあまた」 にっこりと笑って朝比奈は駅に入った。 (あんな奴も居るんだ) 俺は見送った後コンビニに寄り家に帰った。 (少しは勉強しないとな) 勉強は嫌いだったが、少しでもと思い俺は机に向かった。 「聖?何してんの!」 学校でも出来るだけ勉強をしてると友達たちは驚いた顔をしてた。 「勉強中」 「何でまた!熱でもあるのかよ!」 「ねぇよ」 俺は楽しみで仕方が無かった、朝比奈に会える日が楽しみで俺は出来るだけ勉強をした。 「今日はありがとう、楽しかった」 赤い車から夜遅く降りて来たのは姉貴だった。 「俺も、雪と一緒に居られるだけで楽しかったよ」 キザな男、俺は窓からその様子を見る。 (本当、バカ女) 姉貴と付き合ってる男だろう、それだけは確実だ、何故か朝比奈の顔が思い出す。 「朝比奈さん!」 約束の日、俺は学校から直に待ち合わせの場所に向かった。 「聖くん、ごめんね」 俺はもう来て居た朝比奈を見て少し嬉しく思った。 「あのさ、今日は外で勉強しない!」 何故か俺は朝比奈を家に呼びたく無かった。 「別に良いですけど」 少し驚いた様子の朝比奈の腕を掴んだ。 「じゃあ、ファミレスに行こう!」 姉貴に会わせたく無かった、朝比奈を傷つけたく無かった。 「凄い!聖くん勉強したんだ」 ファミレスに行き教科書を取り出した、勉強してる事を朝比奈に誉められて俺は照れてしまう。 「凄いね、ほぼ正解だよ」 優しい微笑み、それを見るだけで嬉しくなる。 俺は朝比奈と勉強する時間が楽しくて嬉しくて時間が経つのも忘れてしまう程だった。 「朝比奈さん!」 俺は何度か教えてもらったある日の帰り道、朝比奈に美術館のチケットを差し出した。 「これ、今開催されてる」
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