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「そうかな?僕はただ、ちっちゃなレディにがっかりして欲しくないから言ってるだけなんだけど」
「ちっちゃくないもの!!」
クリスの半分もない体で胸を張り、ジャスティ主張した。その目はやけに堂々とクリスを見据える。そこには底知れぬ貫禄までが潜んでいるようにも見えた。
しかし、その外見はどう見ても少女。……いや、子供というほうが当てはまるかもしれない。
「へえ……。なら、その帽子はもう被れないな……」
クリスがわざと残念そうにため息をつくとジャスティは目を丸くした。
「どうして?」
「だって、それは子供用だからね。ジャスティは大きいんだろう?」
言葉に詰まるジャスティを見て緑色の眼が楽しげに細められる。そして、背をかがめてその膨れたままの頬に冷たい唇が口付けた。
猫のような楽しげな声を上げたジャスティは、手を伸ばして今度はちゃんと手をつなぐ。
手袋越しでは体温は全く伝わらなかった。
暫くして、ザクザクトコトコと続いていた足跡は不意に止まる。
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