12人が本棚に入れています
本棚に追加
――結局、噂は噂。
翌日は日曜日。明美はベッドに寝そべりながら、遅い朝を過ごしていた。
昔から明美は「普通」と言う言葉が大嫌いだった。
飽きっぽい明美にとって、暇な日常が一変するような出来事をずっとまっていた。
だから、幽霊屋敷に幽霊を探しに行った。
だから、隕石の落ちた山に向かった。
しかし、現実は甘くなかった。幽霊屋敷に幽霊は現れなかったし、山には隕石の後すらなかった。
「やめた!」
部屋にいるとどうも気分が滅入る。
ベッドから跳ね起き、明美は昼近い街に繰り出した。
休日の街はそれなりの賑わいを見せていた。
明美がいつも立ち寄る本屋を覗いてみれば、いつもより賑わいを見せている。
本来ならここでオカルト本などを眺めるのが明美の日課であったが、今日は気分がのらず本屋を後にした。
「……ん?」
宛もなくプラプラと歩いていると、不思議な「匂い」を感じた。
スティックノリの匂いを10倍位濃くした物を鼻の前に置かれている、そんな匂い。
辺りを見回せど、匂いの元と思われる物はない。
何かの花の匂いかな?そう思った明美は、あまり気にせず歩いてた。
しかし、家に帰る途中にまたあの匂いが鼻をくすぐる。
「ん?」
最初のコメントを投稿しよう!