二章~異変~

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思わず息を飲む明美。 見つかっら殺される。 ここに居たらまずい 直感的に明美はそう感じた。 震える体をなんとか引きずり、明美はその場から離れようとしたその刹那――。 激しい爆音とともに明美のいる場所の近くの木が倒れる。 「――――!」 男の声が聞こえる。 明美は走り出す。 走り抜ける木々が次々と爆音をあげながら倒れていく。 「きゃ!」 山道に足元を取られ、その場に倒れこむ明美。 「―――――、―――」 男がゆっくりと指先を明美に向ける。男の指先が徐々に光を帯びていく。 ――もうダメだ。 固く目を瞑る明美。 轟く爆音。 次に明美が目をあけると明美は空の上にいた。 自分は今、天国に向かっているのか?明美はゆっくり辺りを見回す。 「桜!?」 空を飛ぶ明美は、桜の細い華奢な腕の中にいた。 正確にはジャンプした桜に明美は抱き抱えられたのだ。 訳が分からぬまま、桜に抱き抱えられたまま明美は山を下る。いや、飛び降りる。 そのまま桜はふわりと山のふもとに着地し、今度は明美の手をひいて走り出す。 「ちょ、ちょっと!」 走る桜に明美はいろいろと聞きたい事があった。 あの男のこと。 山から飛び降りたこと。 「――!」
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