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気になった明美は桜の元に向かう。
以前、明美が鳥小屋に向かった時は小鳥達がうるさくさえずっていたが、今は妙に静かだ。まるで、明美以外の全ての時間が停止してしまっているようだ。
「……っ!」
鳥小屋を覗き込み、明美は息を飲む。
小鳥達が鳴かない理由がそこにあった。
二人で掃除をした時は元気だったあの小鳥達が皆、地面に落ちて動かない。
助からないことは一目瞭然だった。
「……………」
何も言葉を発せられない明美。
未だ微動だにしない桜の顔を覗き込む。
桜は泣いていた……。
声をあげる訳でもなく。
泣き崩れる訳でなく。
ただ、涙を流していた。
そんな状態の親友にかける言葉を明美は知らない。その内、予鈴がなり明美は「先に行くね」とだけ言ってその場から逃れた。
明美が教室につくと教室は騒然となっていた。
その理由はクラス内の男子の話だった。
「だから、桜は宇宙人なんだよ!」
「ちょっと!それどういう事?」
明美の一言で教室の空気が凍りつく。
明美と桜が仲が善いはクラス内の全員が知っている。二人が変わり者である事も。
「だから、桜は宇宙人だったんだよ」
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