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たとえ桜が宇宙人でも明美はいいと思い始めていた。
――桜は自分を助けてくれた。
――桜は可愛がっていた小鳥が死んで涙を流していた。
明美にはクラス内の誰よりも桜の方が人間らしいと感じた。自分よりも……。
それ以上、男子は明美に対して何も言わない。言っても無駄だ、と考えたのだろう。
一時限目が始まっても桜はまだ、教室にはやって来なかった。
気になった明美はこっそり携帯電話を開いた。
すると、今まで全く気が付かなかったが、一通、メールが届いていた。
ドキッとしながら明美はメールを開く。
メールは桜からだった。
メールにはこう書かれていた。
[タイトル:ごめんなさい
本文:私は貴女に伝えなければならないことがあります。
伝えるべき言葉を持たない私は、こういう形でしか貴女に気持ちを伝えることが出来ません。
大好きな貴女に私は嘘をつきました。
そして、大きな罪を犯してしまいました。
それをこれから告白します。]
メールを読んだ瞬間、明美は立ち上がっていた。
「ん?どうかしたんですか?……あ、こら!」
教室の話も聞かず、明美は走り出すだした。
あの裏山に向かって。
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