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「はぁ、はぁ……」
なんとか呼吸を整え、声のするほうにゆっくり歩く明美。
「―――、―――――」
そこに男とは違う、静かな女性の声が聞こえる。
――桜。
すぐに声の主はわかった。明美が見上げたそこに二人は対峙していた。
「桜!」
明美は声をあげる。
桜が驚いきの顔を明美に向ける。
しかし――。
その一瞬、桜の右腕に閃光が走り、桜の右腕が吹っ飛ぶ。と同時に桜の体もまるで支えを失ったかのように落下していく。
「桜!!」
落ちた桜の元に駆け寄る明美。
明美は驚いた。
右腕を失った桜は大量に血が流れていた。問題なのはその色。
桜の血液は明美の知っている真紅ではなく、緑いろだった。
「この!よくも桜を!!」
しかし、驚いたのはほんの一瞬。次に明美を支配していたのは大切な親友を傷つけられた怒り。
明美は足元の石をとり、男に投げつける。
勿論、そんなものが男に当たる訳もなく、男はゆっくりと二人に近づく。
「――!」
男は二人の目の前に降り立つと、二人にむけ指をつきつける。男の指先に光が灯る。
明美はもう一度、石を投げる。
今度は至近距離と言うこともあり、見事に男に直撃する。
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