一章~星の欠片~

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「桜、放課後さぁ裏山に行こう」 明美はいつでも唐突だ。 いきなり言われた少女、長い黒髪を一本のみつあみにした桜は、きっかり5回、目をしばたたかせ、こっくりとうなずく。 いつでも唐突な彼女に桜はいつも振り回されている。しかし、桜は一度も嫌だと思ったことはなかった。 明美以外に桜に干渉する人間がいないからだ。 回りの女生徒を見れば金髪茶髪は当たり前に、だらけた服装。まるでそれがあまりまえのようになっている。 そんな中、キッチリとブレザーのボタンを閉め、ブラウスをスカートからはみ出さずに膝丈までのスカートをはいている桜はクラス内でも浮いていた。 対照的に明美は、ショートの髪の毛をほんのり茶色に染め、スカートもだいぶ短めだ。 正反対な二人はとても仲がよく、いつでも一緒に行動している。 「じゃあ、正門で待ち合わせね」 早口で放課後の事を話す明美。 何故明美が裏山に行こうとしたのか? 答えはとてもシンプルだ。 数日前、裏山に隕石が落ち、その中に宇宙人が乗っていたと言う噂が学校中を駆け巡っていたからだ。 噂は噂。あくまでも皆はそう考えていた。しかし、それを本気にしているのが、彼女。明美である。
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