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元より明美は好奇心が強く、幽霊が出ると噂の場所があれば率先して幽霊に会いに行ってしまうような人間だ。
その行動力故に彼女もまた、学校中から浮いていた。
桜は焦ったように明美の顔と窓の外とを交互に見る。
「どうしたの?」と明美に聞かれ、桜は窓の外を指差す。
彼女が指差した先には、校庭の隅にある鳥小屋があった。
「ああ~桜、今日は当番なの?」
うなずく桜。
実際のところ、桜以外にその小鳥たちの面倒を見るものはいない。
彼女と同じ半ば忘れられた存在であった。
「わかったわ。私も手伝ってあげる」
そう言って明美は起伏の小さな胸をトンと叩いた。
桜の顔に笑顔が戻る。明美はその笑顔が好きだ。飾らない、本当に嬉しそうに笑う桜の笑顔は嫌なことをふわりと包み込んでくれる、そんな気が明美にはした。
「うわっ!結構凄い匂いね……」
その日の放課後、明美と桜は鳥小屋の掃除を行なった。
鳥小屋に入るまでは意気揚々としていた明美だったが、想像以上の匂いにやる気をごっそり削がれていた。
そんな明美をしり目に桜は黙々と掃除を行う。床に落ちた餌のカスや鳥たちの汚物を箒で集め、汚くなった水を変え、最後に新しい餌を餌箱にいれる。
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