12人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、これ?ほら、暇にならないようにと思って」
袋をじーと眺めていた桜に明美は悪びれもせずスーパーの袋の中身を見せる。
中には大量のお菓子に飲み物。そして手持ち花火のパックが入っていた。
二人は、数時間前にも通った道を懐中電灯の明かりだけを頼りに登っていく。
後ろを歩く桜は明美の持っている袋を、花火をジーと見ながら登っていた。
幸い今日は月夜。山頂付近の開けた場所に辿りついた二人を月明かりが映し出す。
「じゃあ、ここで宇宙人が現れるのを待ちましょう」
そう言って明美は買って来たお菓子を広げ、つまむ。
しかし、もともと我慢が出来ない明美である。10分とせずにイライラしはじめる。
桜は花火の袋を手にとり、中身を確認していた。
「…………桜、花火したいの?」
ずっと花火の袋を見ている桜に半ば呆れ気味に言う。桜はこくこくと頷き、目を輝かせる。
明美は軽くため息をつき、持ってきたロウソクにこれまた持ってきたマッチで火をつける。
淡い炎が二人の顔を照らす。
桜は袋から一本の手持ち花火を取り出し、いろいろな角度から眺めている。
「こうするのよ」
桜が持っていた花火を明美が取り、着火する。
最初のコメントを投稿しよう!