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「バスケ部は次の試合で勝ったら、優勝らしい」
苦しい。
「良かったね」
苦しい。
「君が顔を出したらきっと喜ぶよ」
苦しい…
「ライターと剃刀はまだ部室に残ってる」
顎を掴まれ、顔をあげさせられる。
涙が甲野さんの手を伝う。
「萌。彼女たちは君に会いたいみたいだ」
止めてよ……
なんで…そんなこと思い出さなきゃいけないの?
甲野さんはククッと微かに笑う。
とても楽しそうに。
「行きたいよね、萌」
甲野さんが、私の顔を覗く。
「……行きたく…ないです」
二度と、あんな地獄には行きたくない。
死んだって行かない。
行かなきゃ殺されるって言われても行かない。
もう、忘れたい……
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