トラウマ

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「ふはぁー…」 ドアを空けた瞬間にぶわーっと風が吹く。 すっごく気持ちいい… ここは私のお気に入りの場所。 新館の屋上。 バスケ部に入っているけど、運動音痴の私はなかなかついていけなく、最近全く出入りしていない。 だから放課後はよくここに来ている。 藍ちゃんが一緒に帰ろうと言ってくれたから、藍ちゃんの部活が終わるまで私はここにいようと決めていた。 柵に寄りかかってグランドを見下ろすと、丁度藍ちゃんが走ってるのが見えた。 すっごく速い。 周囲の人には全国大会にも出場できるだろうと言われているし、藍ちゃん自身も『絶対出て、優勝してきてやるっ!』って言っていた。 陸上部の推薦でこの学校に入学した藍ちゃんは、運動神経抜群だし勉強だってできる。 「……」 時々思っちゃうんだ。 何で藍ちゃんは、私なんかと一緒にいてくれるのかな…って。 「なに考えてるんだろ…私…」 「遠坂萌」 ……? 後ろを振り返ろうとしたら、景色が揺らいだ。
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