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「あの……では、これを依頼料という事で」
気持ちが落ち着いてきた男性が、女に封筒を差し出した。
しかし彼女は小春日和の様に柔らかく微笑むと、
「いりません。そんなものは一切必要ありません」
それを断った。
「でも……」
“それでは私たちの気が済まない”そんな表情で、その夫妻はテーブルの真ん中で受け取られないままぽつんと置かれている封筒を見た。
「言ったでしょう。専門外だと。私、霊媒師じゃないんで。どうぞお気になさらず」
「…は、はあ」
納得はいかなかったが、これ以上無理に押し付けて、せっかく“検討する”と言ってくれた彼女の機嫌を損ねてはいけないと、男はしぶしぶその封筒を懐にしまった。
(変わっているとは聞いていたが、まさか金を取らないとは……。お世辞にもこの店自体上手くいっているとは思えないのに)
“やれやれ”と男がそう考えていると、
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