40人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
響「……ねぇ、奏」
律が出て行った後、開きっぱなしだったドアを閉めていた僕を響が何時もとは違う口調で呼んだ。
『何?』
振り返ると響の顔は子供をあやす優しい母親の様な表情を僕に向けていた。
その何時もとは違った響の顔にあの娘との面影が重なった。
響「…最近、何かあった?」
『な、何だよ。薮から棒に…』
動揺した事を悟られない様にしようとしたが、少し吃ってしまった。
響「…奏、前来た時と何か違うから」
…鋭い。流石に幼馴染みだな。別に隠すような事でも無いけど、言うほどの事でもないよな。
『…う~ん。別に何も無いなぁ』
響「伊達に奏の幼馴染みやってないわよ、それに顔見れば解るしね」
ポーカーフェイス心掛けてるつもりだったんだけどな、そんなに解りやすい?
『いや、本当に特別変わった事は無いんだよ。ただ……』
響「ただ?…何?」
出会いと言うには一方的だしなぁ、何て言ったらいいんだろう?
具体的な表現の仕方が見つからない。
最初のコメントを投稿しよう!