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何だか少女の姿が薄く見える。存在感が無いみたいに。
まるでホログラムで映し出されてる映像の様だ。
見えるのにそこには無い希薄めいた少女が僕には世界に自らの存在を否定している様に感じた。
『ねぇ、君』
そんな少女にあろうことか僕は近づきいつの間にか話掛けていた。
?「………」
返事はおろか僕の方に向く事も無かった。
聞こえなかったのだろうか?
『あの~……もしもし?』
?「………」
やはり返事は無かった。
無視されているのだろうか。
僕は少女の眼前に顔を出した。
少女は僅かに驚きの表情を見せたが、直ぐさま元の無表情に戻った。
?「……何かご用ですか?」
無愛想と言うか何と言うか…。
って言うか僕は何故声を掛けたんだろ?
…あれ?何でだっけ?
?「あの……」
『…ああ、ゴメンゴメン。……何だっけ?』
?「…それは私が聞いた事。で、何の用ですか?」
自分で話し掛けといて何だっけは無いよな、普通は。
少女は訝しげな顔をして僕を見ている。
『えっと、何してるのかなって…』
?「……別に、何も。ただここに居るだけです」
『ああ、そう…』
?「………」
はい終了。
続かないな会話が。どうしよう?この空気…。
そもそも何故この子に声を掛けたのか馬鹿な自分を問い掛けたい。
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