翼をもがれた蒼い鳥

6/14

40人が本棚に入れています
本棚に追加
/52ページ
僕は生憎人を見下す趣味を持ち合わせて無いので、彼女の言われるがまま隣に座った。 『えっと…』 隣に座ったはいいが、これ以上の会話をどう続けるか悩む。 変なネタ振りをして彼女が無言で立ち去ったら、僕が隣に座った意味が即座に無くなる。 彼女は相変わらず無言で遠くの空を見続けている。 さて一体どうしたらいいのかな? ?「……名前」 彼女と会話を継続させられるネタ作りを議題に僕の中の脳内の住人達が作戦会議を開催していると、彼女がそう聞いて来た。 『名前って……僕の?』 ?「…うん、貴方」 それもそうだね。まさか誰も居ない方を見て、お名前は何ですか?と言った時点で、大丈夫ですか?って発言しか出来無いもんな。 そんな事言ったら僕の方が無言で立ち去る。早足で。 『僕は奏、音無 奏。音楽の"音"に何も無いの"無"、演奏の"奏"。君は?』 ?「音無 奏…変わった名前ですね」 うんよく言われる。そして君も変わってるね。 僕の聞いた事が君の頭の中で迷子になってる様だしね、何処行ったのかな? ?「私は…葵、弥上 葵」 一瞬、人の話聞いて無いかと思ったけど、違ったみたいだ。随分スローリーな思考回路の子だな。 『弥上さん…か、君もここに入院してるんだよね?いつから?』
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加