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さて、そろそろ部屋に戻るとするかな。肌寒くなってきたし。
『じゃあ葵ちゃん、僕部屋に戻るよ』
ベンチから腰を上げ、お尻に付いた埃を掃った。
葵「あっ…はい」
『…そういえば葵ちゃん。いつもここに居るの?』
葵「…はい、大体は」
葵ちゃんは僕を見上げながらそう言った。
夕日に照らされ赤みを帯びた頬に、上目使いをしている彼女を見て僕の鼓動が早くなった。
ん~何だかこっちが照れそうだ。
『また…来ていいかな?』
入院生活は暇だからね話し相手が一人でも居るだけで大分変わる。
会話を成立させる自信は余り無いけどね。
葵「……別にいいですよ」
何だか釈然としない物の言い方だけど、まぁいいや。
『うん、ありがと。じゃあ…また』
そう言って僕は別れを告げ、この場を去った。
葵(……変わった人)
葵は奏が出て行ったドアを見続けていた。彼女自身も気付いていないだろう、自然と笑みが零れていた。
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