鳥カゴの中の鳥

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話し掛けようかとも思ったが、彼女は僕の存在に知りもしないし気付いてもいない。 そもそもそんな声を掛ける勇気なんてものは最初から無い。 近くに居るのに遠くに感じるもどかしさが僕の中で渦巻いていた。目眩がする位に。 そうこうしている間に彼女は会計を済まし売店を後にしていた。 折角彼女に話し掛ける機会だったのに…。 つくづく自分の臆病さに嫌気がさす。 かと言っても何の拍子も無く声を掛けたら、ただの軟派な男にしかみられない。 名前すら知らない彼女に何故これほど気になるのか、自分でも解らない。 何でだろうな…。  
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