8月20日

2/4
前へ
/237ページ
次へ
あぁ、でも悲しいくらいに私のあたまは朦朧としていて。 サンダルからのぞく、水色のネイルが、ゆらゆらゆれていた。 わずかに落ちてくるしとしと雨が、酔ったほおに気持ちがいい。 白いチュニックワンピースがぺったりと体にはりつき、夕方に巻いた髪の毛はしんなりとはりをなくしてしまった。 それにしてもこの街は田舎すぎる 場所がわからない。 タクシーを拾おうにも、車一台とおらない。 それどころかコンビニの光すら見当たらない。 このままだと、追ってきた男にあっさりつかまってしまうのではないかと思い、 誰かに迎えにきてもらおうと、バッグを開いた瞬間、それは私の手をすべり、中身が水溜まりへとちらばった。
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1695人が本棚に入れています
本棚に追加