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顔をあげると、小さな薬屋があった。
今の時代に似つかわしくない、こじんまりとした薬屋。
シャッターは閉めてあり、営業しているのかどうかも怪しいくらいだ。
薬屋の前の、緑色のかえるが雨に濡れて笑っていた。
何が楽しいのあんたは。
おい、かえる。
薬屋のかえる。
何を笑っていいるの?
私を笑っているの?
哀れんでいるの?
ならばあんたに問う。
私はなんだ?
おい、かえる。
本当はかえるですらない、緑のつるつる。
おい、つるつる。
あんたと私の違いは何だ。
かえるが
ケロケロケロッと
笑う声が聞こえて、わたしはとっさに
やつを蹴りあげた。
ずぶぬれのかえる。
ずぶぬれの私。
とっさに赤がみたいと思いたち、化粧ポーチから、カミソリを取り出した瞬間、
私は、彼と、出会った
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