エイタ

4/10
前へ
/237ページ
次へ
暗い車内、横顔だけでも、彼が綺麗な顔だってことはすぐにわかった。 髪は短めのアッシュグレイで、前髪からのぞく目は、奥二重で切れ長だけど、笑うと少し目尻がたれてかわいかった。 すっとのびた鼻筋も、唇がうすめで、横にニッと大きめな口も、いかにも今風で、 私のタイプの顔ではなかったけれど、見とれるには十分な美しさだった。 小さな耳には、(左耳しかみえなかったけど)みっつ穴があいててそのひとつはグッチだった。 首からも、グッチのペンダントがのぞいてた。 「グッチ、好きなんだ」 なんとなく、つぶやいたら、 「好きっていうか。似合うでしょ?俺。 なんか、もらうんだよね」 と、傲慢なかわいい笑顔で笑った。
/237ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1695人が本棚に入れています
本棚に追加