エイタ

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泣き出した私を見て、彼は帰り道にあった小さな公園の駐車場に車を止めた。 あぁ。 バカだ。 最悪だ。 まさに酔いのなせるわざだなぁー と、冷静な頭とはうらはらに、体は勝手に涙を流す。 なんだか格好悪い。 慰められなくないときほど、哀れまれたくない時ほど、みじめになりたくない時ほど、 涙は勝手に出てくる。 めんどくさいて思われたら嫌だなと、鼻をすすって顔をあげると 「俺と一緒です。誕生日」 と、驚いた顔の彼の姿がそこにあった。
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