プロローグ

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姉は、不安定で繊細で変わった人だった。精神科からもらった薬を思い付いたように不規則に接種し、腕には無数の傷跡があった。 不規則な生活をしながら、時に本を読み、音楽を聞き、映画を見て、そして、わたしに優しかった。 機嫌がいいと、好きな映画を一緒に見ようと誘ってくれ、時に本を貸してくれた。 姉が好きなものは、どれも暗く、退屈なものが多かったが、どこかいつまでも、心をしめつけられるようなものが多かった。 まるで、姉自身を、現してるように。
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