一章

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   何をだ? とは訊く気になれなかった。  こいつとの付き合いは高校に入ってからとまだ短いが、それでも一応どんな人物か理解している。  題して、面白い事大好き人間。  とりあえず座席が近いからという理由でたまたま喋ったのが付き合いの始まりなのだが、それから一週間でこいつは様々の事をやって除けた。  一番問題となったのは校長のズラを後ろから引っつかんだという事で、その後数日に渡ってこいつはお説教部屋行きだ。 だが当の本人はまるで反省の色が無く、反省文に『見た途端ズラなのか自毛なのか知りたいという好奇心が沸き上がってしまった。仕方のない事である』と書き記し、さらに説教を喰らう嵌めになっていた。  だから、どうせまた下らない事だろうと、敢えて俺は眉根を寄せるだけにした。
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