611人が本棚に入れています
本棚に追加
コールはいきなり俺の頬を殴ってきた。唇が切れ、そこから血が少量流れる。あまり痛みはないが、やはり精神的のかなりくる。
「聞いてくれよぉ。今日な、掃除してたらさあ、あのクソジジイがまた怒鳴ってきてよ。ちょっとサボっただけでだぞ」
やはり、だ。ここからは延々と愚痴を聞かされ、殴られ蹴られる。魔法を使わないところを見ると、やはりそこら辺はわきまえているのか、それとも直接の方がストレス発散になるのか。
「でよ、俺がそれで睨んだら、また延々説教。やってらんねえよ!」
そう言い、コールはいきなり俺の腹を、前蹴りで蹴ってきた。腹の中のものが喉辺りまで込み上げてくるが、そこはこらえる。痛みで体を折ると、髪を乱暴に掴まれ、コールの方を向かされた。
「ムカつくんだよな。お前もさ、早く死ねばいいんだよ。その顔、忌々しい。お前くらい顔の造形が良かったら、女にモテてただろうな」
こいつの話はいつも、飛びすぎだ。そう言ってやりたかったが、それを言ってしまえば本当に殺されるかもしれないから、心の中で呟くだけにした。
「なあ、不公平だよな?」
「…………」
俺が黙ったままでいると、コールはいきなり掴んだ俺の髪を引っ張り、俺の後ろにあるドアに連れていった。
そして、俺の顔をトイレに突っ込んだ。いきなりの事だったので、俺は早くこの状況から抜け出したいと、もがく。それに腹が立ったのか、コールはさらに力を入れて俺の顔を押し付けた。
息が出来ない。何度か水を飲み込んでしまった。肺が空気を求めて激しく運動している。
ヤバい、と思った瞬間には俺の顔はトイレから引き剥がされた。
「もう何もかもムカつくんだよ」
そして、コールは俺の顔面を勢い良く横の壁にぶつけた。鼻血が溢れ、口の中は血の鉄っぽい味しかしなくなり、痛みで意識すら危うくなってくる。
二回目がくる、と思った瞬間、視界はタイル張りの壁に支配されていた。
最初のコメントを投稿しよう!