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「が……あ……」
「なぁ、ルキお坊ちゃん! お前の存在自体ムカつく! なんで生きてんだよ!」
何回も何回も、壁に俺の顔をぶつける。痛みはもうすでに麻痺してきた。歯は何本か折れ、視界も次第に赤に染まってくる。壁は俺の血で汚れていた。
そうなるともう、反抗する気持ちさえ麻痺してくる。憎しみはなぜか、胸の中をさらに黒く染め上げていたが。
「アァァァァァ!」
コールの声は次第に意味をなさない叫び声になっていた。
俺は気づいた。今日はいつもとはかなり違う。いつもなら、こんなに傷が残らない、それも殺す勢いで暴力を振るわない。
おかしい。そう思った時にはすでに、俺の体は動いていた。
残された精一杯の力を振り絞り、俺はコールの足を蹴った。すると、興奮していたコールはバランスを崩し、後ろへ倒れていった。
俺はもう目の前が真っ暗になっていき、意識が途絶えそうになる瞬間、鏡の中の俺と目があった。なぜか晴れやかな顔をしている、俺がそこにはいた。
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