隠蔽

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「あぁ……!」  口から苦痛の声が漏れた。想像を絶するとまではいかないが、そこそこ痛い。精神的にもかなりきているから、それは更に痛みを増す。  コールに視線を移す。再び吐き気が襲うが、喉の辺りでこらえた。とりあえず、こいつをどうにかしないといけない。  今は昼間だが、夜になればまた使用人がここに来るだろう。それまでに、この死体を処理しておかなければ。  だが、バレるのも時間の問題だと思った。コールは俺の部屋に来てから失踪、という事になる。疑いは俺にかかり、家の者に捜索させれば簡単にコールの死体は見つかるだろう。  だけど、気休めでもいいからこいつを隠し、何食わぬ顔で次の使用人を待っていなければ。  次の使用人が来るまでは後、六時間はある。コールがいなくなる、というのは大丈夫だ。少なくとも騒ぎになるのは明日。使用人達はコールはただサボっているだけと考える。  やってしまったのは仕方ない。今は素早く死体を処理する事だけに集中し、使用人を欺く事に全力を尽くす。  だが、この体でどうやってこの死体を隠すかが問題だ。これでは魔法は簡単なものしか使えない。魔法を使う時は絶対に、意識を集中しなければいけないから。 これでは痛みで集中出来ない。そこで俺は思い出した。痛み止め、というよりある程度感覚を麻痺させる魔法がある事を。  体を引き摺りながら、自分の部屋に戻った。本棚までどうにか移動し、その中から医療用の本を取り出す。  ページを開き、目次を見た。俺の探している魔法は56ページにある。  56ページを開き、主な構成と式、必要な手順を読んだ。
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