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「まず、医療の基本魔方陣を書く」
指で文字を追い、確認する為に音読した。
基本魔方陣とは、その魔法の効果を表す基本的な構成と式を織り混ぜた陣。医療系なら医療系の、生活系なら生活系の基本的な構成と式がある。それを何かで書き、更に細かい式を入れて、魔力を流す、というのが基本的な流れだ。
だけど、効果が大きい魔法になるほど、複雑な構成と式が必要だし、代償や制約なんてものもある。代償の例は、血や毛、副作用なんかだ。制約は、ある程度その魔法の合っている環境でないと、その魔法は何をしても発動しない、みたいなもの。
俺が今からしようとする魔法の効果は、痛み止みたいな感覚を麻痺させる魔法。本来、手術などで使われるこの魔法だが、今は大丈夫だろう。
式や構成、医療系の魔方陣は覚えているので、後はこの魔法特有の細かい式と、代償、制約を理解したら魔法が使える。
本を見る。複雑な式や魔方陣が書いている下に、代償な制約が書いている。
『この魔法の代償は、主に使用後の苦痛です。魔力の込め方や、質量などで時間は決まってきますが、平均的には二時間は持続します。苦痛の内容は様々で、それは魔力の込め方や質量で変化していきます』
そこまで読み進め、俺は顔を歪ませた。苦痛なんかは慣れているから平気としても、それがどれだけ続くかが問題だ。次の使用人が来るまでに治まっていればいい。
だが、苦痛が続いていれば使用人に一発でバレるだろう。それだけは避けたい。
どうする、と自問をするが答えは決まりきっていた。
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