恋愛科学

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☆隣の空 それでも好きだと 君を守ると そのフレーズは飽きるほど聞いていたから思わず振り向いてしまった。 振り向く前からテレビのセリフだとはわかっていた。安っぽい、ごてごての、でも需要が絶えない昼ドラマ。嫌いだと目を逸らしつつも、チャンネルを変えないのはただ単に他に見るものが無かったからなのだろうか。 そんな2次元の箱をふいに埋め尽くしたセリフだった 過去は切り捨ててきたつもりでも、ふとあるごとにでてくる。そんな自分が死ぬほど嫌いだった。愛情もない、憎悪もない。ただの反射をおこしてしまう度にあいつを思い出さなきゃいけない。 ああ 思い出したくないと考えることすら本当は疎ましいというのに 忘れることを許してほしいが為にむちゃくちゃをした。人はそれを自暴自棄だと、フラれた女の醜い残り粕だと言う。やかましい。否定することさえも否定されていた私にできるのは強く保つ、ただそれだけだったのに。 誰かに助けてほしいなど微塵も思わなかった、いや、思わなかったふりをしていた。必死に叫んでも届かないのを知っている私たちができるのは、それを認めないこと。ただ、認識を拒否することだったのだから。 そして、それが当たり前だと言い聞かせてきた。 それでも 私に伸びる手は あったのだ。 すっかり折れた芯を必死に支えてくれたその手がどれほど愛しいか、私の語彙力では表現できはしない。ただ、ただ愛しい。君がいたから今の自分がいるなんて陳腐なセリフを真顔で言えるほどに。 気付いたらずっとそばにいてくれた君に、ありがとう。
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