僕の見たその子の涙

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今日もうるさい、と言うのだろう。 真昼の園庭を大きな口を開けて走り回る子供達。 お前たちの頭の悪そうな【言葉】が俺の中に入らないのは生まれつき幸運だったのかも知れない。 そうだ。 そう思うように決めたんだ。 俺は自分の名前を聞いた事がない。 正確には、呼ばれた事にすら気付く事はないのだ。 俺の聴覚は全くこの世界の【音】を拾うこともなく、中身のない餃子のような物をもう十年も付けているに過ぎなかった。
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