虚空の中の少年 美月side

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今日、あたしの通う学校に転校生がやって来た。 思わず撫でたくなるような、ふわふわとした癖のある真っ黒な髪に、宝石のように輝く漆黒の瞳。 それとは対照的に、肌は透けるように白く、卵形の顔は両手で包みこめそうな程小さい。 身長はお世辞にも高いとは言えないが、それが可愛らしい、人懐っこい小動物のようなイメージを彷彿させる。 それが彼の第一印象。 だけど、彼は決してただ愛らしい存在である訳じゃないように思う。 あたしには、彼の中に深い絶望があるように感じるのだ。 彼の瞳はハッする程冷たく、全くと言っていい程、感情の色彩がみられない。 無機質で、まるで等身大の人形のようだ。 そんな冷ややかな瞳で、彼は何を見、考えているのだろう? あたしは、そんな彼の見ている世界を知りたいと思う。 そして理解したい。 五月十二日、月曜日。 今日が記念すべき邂逅の日。 そして、今日が全ての始まりの日。
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