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何を映す訳でもない、ガラス玉のような無機質で冷ややかな彼の瞳。
どこまでも空虚で。
深い深い絶望に包まれていた。
窓ガラスに映るその顔は、何もかも諦めたような表情をしている。
その姿は酷く朧気で。
どこまでも儚くて――…。
ちゃんと掴んでいないと、どこかに消えてしまいそうな雰囲気を醸し出している。
この少年は、一体何を考えているのだろうか?
ああして独りでいるけれど、本当は壊れやすく、脆い心を持っているのだろう。
だから他人を拒絶する。
傷付くのが怖いから。
思い知らされるのが厭だから。
本当は、誰よりも人を求めているはずなのに――…。
「バカだなぁ……」
「美月?」
一人ごちる美月は、フッと笑みを浮かべた。
「いや……ごめん。ちょっと考え事してた」
訝しそうに美月を見る茜に、ごめんごめんと、笑いながら軽く謝る。
茜は小首を傾げたまま、疑わしそうにしていた。
だって、本当にバカなんだもん。
独りでいたって、好い事なんて何一つないのにさ。
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