14人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれ?美月。茜と夕葵の姿が見えねぇけど?」
「あの二人は購買に行くって言ってたよ?あ!陽哉、暁。お昼、御堂君も誘おうと思ってるんだけど……どう?」
陽哉は困惑の表情で、美月の後ろに座る宙をチラリと見る。
宙は我関せず、一人で食べるつもりなのかお弁当を広げはじめていた。
「なぁ、マジで誘うのか?」
「嫌?」
「いや、別にいいけどさ……」
渋りながら陽哉は言うと、暁に物言いたげに視線を向ける。
暁はそれを受け、小さく肩を竦めた。
「陽哉が言いたい事は分かるけど、僕は別に構わない」
「ホント?じゃあ誘おっと!」
嬉しそうに返事を返し、美月はグルリと後ろを向く。
宙は感情の灯さぬ瞳で美月を一瞥する。
「何?」
「御堂君とお昼一緒に食べたいなって思ってさ!」
「おれは思わない」
瞬時に断ると、宙は弁当箱のフタを外そうと手を伸ばす。
その手を美月は抑えた。
「食べよ?」
ニコニコと笑いながら言うと、宙は若干顔を引きつらせた。
――なんだ……。
ちゃんと感情出せるじゃない。
美月はニッコリと笑うと広げられた弁当を強制的に片付け、宙を立たせた。
最初のコメントを投稿しよう!