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ダーツボードの真ん中を、ブルと言うそうだが先にブルに入れたのは、ちひろの方だった。
それは、やはり悔しい。
「はあ、疲れたねぇ」
立て続けに10ゲームほどやったので、流石に疲れて休憩する事にした。
ダーツ台につき、テーブルが1つありそこに座り、酒が飲めるみたいなので二人でビールを注文した。
真っ昼間からビール飲んで、ダーツ投げてるカップルってどうなんだ。
軽いツマミと一緒にビールを飲みながら、話しは来月の事になった。
どんな話しをしたって、ちひろとオレの時間の絶対量は変わらない。去年のように、一緒にいられる時間は無いだろうな。
ヘタをすれば、回数で2、3回しか会えないかもしれない。
「何とか時間は作るよ」
ちひろにも、そうとしか言えなかった。
「よし、来月のことは来月になってから考える事にしようよ。とりあえず、もう一度ダーツしようか」
本当にちひろは、ダーツが気に入ったようだ。ボードに矢が刺さるたびに、喜んだり落ち込んだり表情をコロコロ変える。
特に、喜んでいる時のちひろは可愛い。こんな時間の共有を、オレの心は望んでいる。
何か、方法は無いんだろうか。
ユカちゃんの夢がダンスならば、オレの夢はちひろと時間の共有。その方法は、分からないけど考えてみる事にしよう。
結局、ダーツを3時間半はやっていた。
携帯を見ると液晶画面にちひろの笑顔と、6時40分の表示がある。ついに、待受画面にもちひろの笑顔を持ってきた。
ちょっと、やりすぎかな。
「ちひろ、そろそろ帰ろうか? オレも、出張の荷物とか片付けに帰りたいし」
「そうだよね……」
ちひろが、寂しそうな表情を見せる。来月の事も頭の中でリンクさせて、寂しさを強めてそんな顔をしてるように感じた。
それは、考えすぎかもしれないけど。
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