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さっきまでまじまじと眺めていた整った唇が発した言葉。
それは確かにあの希さんの名前。
私は振り返って、その寝顔を確認する。
けれど、やっぱり先ほどと変わらず規則正しい寝息を立て、穏やかに眠っていた。
ズキッと、足を挫いたような痛みが、胸で音を立てるようにして現れて、ジュクジュクとした苦しみも加わる。
どうして?
そうは言ってみるものの、私はこの痛みや苦しみの意味を頭の隅では分かっているはずなんだ。
頬を伝う涙が、その考えを後押しする。
ねぇ私、真田のこと、好きなの……?
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