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リビングにあるテーブルには朝食がきちんと並べてあり、視線を移すと少し化粧もして、いつもよりめかし込んだ姿のあいつがいた。
素直に言うなら綺麗、だった……
健やかな寝息を立てる度、微かに揺れる睫が頬に影を作る。
その頬は薄紅梅を思わすように色付き、陶器のごとく白い肌をより一層引き立てていた。
ふと、見ると目から落ちる筋がその頬に弧を描いていた。
「……泣いたのか?」
こいつ、泣くほど水族館が行きたかったのか?
そんなに行きたいなら起こせば良かったのに……。
俺はそんな風に考えていた。
まさか、こいつがあんな事思っているだなんて知らないまま……
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