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嫌みなほど綺麗な手に持たれた本のレシピを覗くとロールキャベツが載っていた。
どうやったらロールキャベツがうんこに変身するんだろ。
「……かしてください。私がやりますから」
フライパンを握っていた手が躊躇いがちに離され、私と代わる。
ここまで焦げたなら、仕方ない。
私は慣れた手つきでこなしていく。
痛いくらいの沈黙が続いた。
いや、続くように、仕向けた。
「……なぁ」
なのに真田は口を開いた。
しゃべりたくないのに……。
言葉を交わせば、私の抑えている何かが溢れそうだから。
「どうしたんですか?」
平然を装う。声はそう、低く。手つきは変わらず。
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