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「……ご褒美?」
聞き慣れない言葉だな。私、犬じゃあるまいし……。そんなことが脳を一瞬駆け回った時だった。
前を見たまんまの視界に真田の顔が近くまで入ってきて、唇に何かが当たった……
「ふぇ……っ?!」
唇に熱く、柔らかい感触が私の脳を一挙に独占する。
これ、まさかっ……
き、きキスーっ?!!
戸惑い、自分の今の状況を目で確認する前に唇から熱が遠ざかった。
そして、次に視界に入ってきたのは勝ち誇ったような真田の顔……。
「顔真っ赤だな……、初めてか?」
「そーです!!何か文句あります??!」
「……クス、実は初めてじゃなかったりして……」
薄く開かれた口からの言葉はあまりに小さすぎて。
「……へっ?今、何て……?」
「いーや?ただ、キスする時は目ぇ、瞑んだよ。お子様?」
そんなもん、知るか!あんたが突然してきたんでしょうが!!
反論しようとしたが、それは心の中だけで消えた。
悔しいけれど、さっきまでのモヤモヤとかイライラとかは無くて、あるのは高揚した気分とうるさい心臓だった。
ありがとう、新……?
このお礼も、きっと心の中だけ。
でも優しく頭を撫でるから、もしかしたら伝わっているのかもしれない。
…………。
いや待て!これ私のファーストキスじゃないか?!正直な話、誰得よ?!
「喜べって。この俺にファーストキス奪ってもらったんだぞ?」
「はいぃぃ?!」
「俺のキスし欲しさに縋ってくる奴もいるんだから、お前はラッキーだな」
自分で言っちゃうんだ!!
……でも、まぁちょっと嬉しい……、のはなんでだろう?
熱くなった唇にそっと触れた。
言いようのない高揚感を私は、感じていた。
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