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「はい……」
私はその格好のついた物言いに赤面した。だって、あまりにも、彼には彼のその強みを含んだ言葉が、似合いすぎているから。
遠慮がちに乗り込んだ車内は綺麗に掃除されていた。
そして、何か高級感を思わす芳香剤が鼻腔をくすぐった。
「よし」
満足げに、ドアを閉めると、真田も車に乗り込んだ。
「じゃあ、行くか。腹減ったから飛ばすぞ。シートベルト、しっかり締めておけよ」
「と、飛ばす??」
あまりに、物騒な単語に私が聞き返した瞬間。
微かな低重音が、車内に響いたかと思えば、一気に車が走り出した。
「ぎゃーっ!!!!」
アクセル全開。
狭い駐車場内を走っているとき、恐れと好奇心から覗いた、速度メーターは約120キロを示していた。
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